大工さん選手権
今までに我々は丸太乗り大会、雪合戦、地面出し競争と数々の競技に参加し、辛酸を舐めてきた…
そのすべてが「俺ならできる。」といったどこからか湧いてくる自信からだった。
猛暑照りつけるある日、ReFINEの施工において誰が一番技量があるか、といった話題から四者の火花が散り、弊社の技術力 ナンバーワンを決める運びとなった。
技術力を判断するにおいて、圧倒的な職人が必要だった我々は、岐阜県中津川市付知町という林業が盛んな町で、大工歴45年のベテラン大工(中島の父。職人気質で頑固。)に依頼し、技術が全ての大工が本気で弟子をとるなら誰にするか?を競う事にした。
もちろん、父であること、息子であること、息子の上司であること、全てを無視して公正に執り行われた。
技術力やセンスを表す指標として下記のペンタゴングラフを製作した。
項目は刃物・鉋(かんな)・鋸(のこぎり)・金槌・魂(気合)の十段階評価、五種目での総評と、大工が直々に選ぶ弟子入りの決定を以って、弊社の技術力ナンバーワンを決定する事とする。
それでは、各種目ごとに奮闘の記録を公開しようと思う。
~これは、我々の2020年夏に起こったとてもアツいお話~
其之壱・刃物砥ぎ
ReFINEの組付けや、施工に必要なのは果たして技術だけだろうか。否、人の力では到底でき得ない作業のサポートをしてくれる道具があって初めて成立する。
自身が使う道具を大切に扱えてこそ、真の技術者なのだ。
刃物を研ぐ。簡単な事の様で、実は非常に奥が深い。
砥石の粗さや水を打つタイミング、刃の角度やスピード感等、砥ぐ作業にも技術が必要なのだ。
其之弐・鉋掛け
鉋(かんな)は、心地の良い手触りと、木のぬくもりを感じられる仕上がりにするために欠かせない工程だ。ただし、鉋を掛けることは容易ではない。
持ち方はもちろん、体重のかけ方から、削り終える瞬間までの集中力が決するのだ。
大工は言った。
「俺が弟子入りした頃は、鉋掛けさせてもらえるまで、早くても5年はかかった」
其之参・鋸(のこぎり)
のこぎりで木を切ったことがある方はこの言葉を知っているのではないだろうか。
【押すんじゃない。引くんだ】
のこぎりで切る。基礎中の基礎ができてこそ、一流の技術者になれるのだ。
幼少期より、のこぎりで木を切る姿を誰よりも目にしてきた中島も真剣な眼差しで木に刃を入れていく。
其之肆・金槌打ち
木と木、思いと思いを繋ぐ際は今も昔も変わらない、金槌が必要だ。
ここと決めたら後は思いの全てを右腕に込めて真っすぐに振り下ろす。
単純作業だが、この先、何年、何十年、いやそれ以上の年月を共に過ごす為には確実な打ち込みが必要となる。
「思いと一緒で、曲がっていては長持ちしない。」師からの言葉を誰も忘れはしないだろう。
結局のところ何が一番大切かって?
残す一種目がそれだ。
【SOUL】…魂
何をするにしても心がこもってなければ意味がないのである。
其之伍・魂
そのものに掛ける気合い、魂、信念、それが消えない内はまだまだ希望は捨ててはいけない。
最後の種目は自分が施工にかける思いを一人ずつ、真剣に親方に伝える。親方は、ただ黙って皆の話に耳を傾けてくれた。
各々のペンタゴングラフが完成し職人が職人を選ぶその時がやってきたのであった。
第一回大工さん選手権、数ある競技を終え、堂々の弟子入りが決まった。
その名は 施工部長 舛田雅和!
器用さと気合いが決め手だった。
これが、我々のアツい夏の1ページ。