ニュースレターNo.28 特集:除菌・殺菌・抗菌・滅菌 何が違うの?

新型コロナウイルスの感染拡大により私たちは今まで以上に日常生活での衛生面に気をつける機会が増え、菌やウイルスに作用するさまざまな衛生アイテムが店頭に並んでいます。

パッケージには「除菌」「殺菌」「抗菌」「滅菌」などと書かれていますが、明確な違いについてご存知でしょうか?

それぞれの意味と効果を知り、適切に使い分けましょう!

 

除菌:菌やウィルスをある程度減少させる

除菌とは「菌やウイルスを取り除いて、その数を減らすこと」。

洗剤・石けん公正取引協議会には「物理的・化学的または生物学的作用などにより、対象物から増殖可能な細菌の数(生菌数)を有効数減少させること」と定義されており、「除菌」と表現できる製品の基準を「黄色ブドウ球菌、大腸菌の2菌種においてそれぞれ『除菌効果のない対照試料』に対し、1/100以下の生菌数に減少させる能力があること(除菌活性値が2以上であること)」と定めています。

また、菌を殺すのではなく除去することを指すため、手を洗ったり食器洗いや掃除をしたりすることも広い意味での除菌といえます。「殺菌」することも除菌に含まれますが、医薬品や医薬部外品以外には「殺菌」を謳えないので「除菌」という表現がよく使われます。

除菌作用をもつ製品には、スプレーやジェル、ウェットシート、洗剤など、さまざまなラインナップがあります。

 

抗菌:殺したり減少させるのではなく、菌の増殖を抑制する

抗菌とは「菌の増殖を抑えること」。

直接的に菌を殺したり取り除いたりするのではなく、菌が住みにくい環境をつくることを表しています。

経済産業省の「抗菌加工製品ガイドライン」では「抗菌加工した当該製品の表面における細菌の増殖を抑制すること」と定義されています。

菌を殺したり減少させるのではなく、細菌が嫌う銅・銀・チタンなどの化合物をまな板に散りばめたり、繊維に埋め込んだりすることで抗菌作用をもたせています。

なお、経済産業省の定義では、ウイルスはその対象に入っていません。

ハンカチや靴下、パソコン用品、おもちゃ、ぬいぐるみ、カバン、スリッパ、便座など、抗菌加工の施されている製品は多岐にわたり、いずれも菌が繁殖しにくい特徴があります。

また、抗菌作用の持続期間は周辺環境の影響を受けますが、例えば病院内のカーテンに塗布した実験では約1ヶ月以上、状態が良ければ数年にわたって持続します。

 

殺菌:菌やウィルスを殺す・死滅させる

殺菌とは文字どおり「菌を殺すこと」。

除菌と同じで、殺す菌やウイルスの数について明確な定義がないため、すべての菌を殺さなくても一部の菌を殺すことができれば「殺菌」となります。

つまり、「殺菌」という言葉が使われていても厳密には有効性の保証がないともいえます。

また、この殺菌という表現は、薬機法の対象となる消毒薬などの医薬品や薬用せっけんなどの医薬部外品で使うことはできますが、洗剤や漂白剤などの雑貨品については使用できないことになっており、病原体の除去(感染症の予防)、食品の鮮度保持などが主な目的です。

殺菌効果を持つ製品としては、薬用せっけんのほかに、制汗スプレー、紫外線ライト等があります。

 

滅菌:すべての金やウィルスを死滅または除去する

滅菌とは「菌やウイルスといった微生物の数を限りなくゼロに近づけること」。

有害・無害を問わず対象物に存在しているすべての微生物及びウィルスなどを殺滅または除去することで、「微生物の数を100万分の1以下に減らすこと」を滅菌の定義としています。

定義も明確であり、今回取り上げた4つのなかではもっとも強力な作用です。

ケガの手当てに使う滅菌ガーゼや手術用具や注射器などの医療器具には必ず滅菌処理が施されています。

 

手洗いの時間・回数による効果

ウイルスを使った研究で、手洗いなし、流水のみ、殺菌成分を含む薬用ハンドソープを使った手洗いを比較し、手についたウイルスをどれくらい減らせるかを調べた研究の結果です。

(東京都健康安全研究センターより)

 

ちなみに、ウイルスの感染力に着目した場合、

薬用ソープを使うことにより感染力を弱めているわけではない

ことがわかりました。

研究を担当した東京都健康安全研究センターによると「実験結果は、物理的に洗い流すことの効果を表していた。手洗いの時は、せっけんをしっかり泡立てて洗い流すことが大切」とのことでした。

また、除菌や殺菌と記載がある商品でも、必ずしもウイルスに効果があるわけではありません。ウイルス対策をするときは、アルコールや塩素系の成分だけではなく、熱水や界面活性剤も効果的です。