From:長谷
俺は少し緊張していた。
数年に渡るプロジェクトが受注の一歩手前という状況で、恐らく最後のプレゼンになるであろう面談をしに名城線に乗り金山総合駅に向かっていた。
地下鉄の窓は換気の為に五分の一程開けられており、強烈な空調と生暖かい風が混じり合い、夏休みのせいか子供連れが多く乗っていた。
待ち合わせは午前十一時。場所は金山総合駅のスターバックスだった。そのプロジェクトは担当者ベースでは話がほぼ決まっており、あとは客先の上司の決裁を貰うだけだった。
その上司とはまだ会った事がなかった。忙しい方のようで、訪問した時には帰り際に挨拶させて欲しいと頼むのだが、いつも出張か何かで不在だった。… 詳細を見る