ニュースレターNo.10 【寄付しました】日本IDDMネットワーク様(後半)

特集:【寄付しました】日本IDDMネットワーク様  インタビュー (後半)

FROM:長谷、土井

前号に引き続き1型糖尿病患者への支援をしているNPO法人「日本IDDMネットワーク」様への インタビューを掲載いたします。

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日本IDDMネットワークの活動

【井上】我々の活動としては、基本はもちろん患者やその家族の支援ですが、実は最終ゴールはこの病気を治したいということです。そのためには研究者を支援していくことが手段になります。

そのミッションのために、「救う」、「繋ぐ」、「解決する」というステージに分けて活動しています。

「救う」

まずはつらい状況の時の皆さんの不安や現状から救おうということで、具体的には情報提供とか相談とか交流の場を提供しています。これは毎週数件分の問い合わせがあって、うちの役員がそれぞれ強みを生かして電話やメールなどで相談に乗っています。

その中で、我々が患者や家族を「救う」ことの象徴的な活動として「希望のバッグ」というものがあります。

これは2014年からスタートしましたが、バッグ中の療養に役立つ様々なものを入れて、直接患者・家族に送っています。例えば学校の教員向けに学校としてどういった配慮が必要なのかを説明したパンフレット、それから祖父母向けのパンフレットなどが入っています。

繋ぐ

それと、2つめの活動ステージが「繋ぐ」ということです。

患者や家族の周りには、病院の医療従事者、職場や学校関係者、もちろんこの病気を治すことに向けての研究者、実際に今の治療を支えてくれている人たち、この病気と直接関係ないけれどもいろんな形で関わってくれている方たちなど、たくさんいます。

それから、この病気にかかわる社会的な仕組みとか制度ということでは行政、この病気を世の中に広めてくれるメディア、そういう人たちといかにうまく関わっていくか。我々単独ではなくいろんな人たちと繋がっていくことが大切です。

解決する

ランゲルハンス島というすい臓でインスリンを作る細胞がありますが、インスリンを作る臓器じゃなくて、この細胞とか組織だけの移植が日本で初めて2004年に行われました。私たちはこれを見て、ひょっとしたらこの延長上には本当に治るということが出てくるのかなという期待感を持ちました。これがきっかけになって、この翌年、2005年に私たちは「1型糖尿病研究基金」を立ち上げました。この研究助成、つまり1型糖尿病を「治る病気」にする活動を「解決する」という3つ目の活動ステージにしています。

糖尿病根絶に向けての研究支援

【井上】 先進的な医療研究に我々患者団体としてサポートしていこうということで、2005年に基金を立ち上げ、皆さんから寄付を募っています。

研究者から研究テーマを募集して、私たちと専門家の先生方が集まって審査して、研究助成対象を決めて研究費を提供しています。今現在2億5000万円ぐらいの研究助成を実施しています。日本の中でこういう患者の団体が研究を支援しているというのは非常に少なくて、そういう意味では先駆的な活動をやっています。

どんな活動を支援しているかというと、再生医療、特にiPS細胞に対する期待が強く、そういうところへの研究支援が多いですね。

その中で最近大きな助成をしたのは、「バイオ人工膵島」といって豚のすい臓を使うやり方です。人からの臓器の場合は臓器を提供する人が必要になるんですが、日本の場合は臓器提供者(ドナー)が非常に少ないので、じゃ、ほかの動物からもらおうということになります。豚の膵島というのは実は人と機能がよく似ているので、豚の膵島を移植するという治療法があります。

また、豚のおなかの中で人のすい臓を作ろうという研究もあります。IPS細胞ですい臓のような立体的な構造の臓器を最初から作るとなるとそう簡単にできないんですよね。動物のおなかを借りて、すい臓だけをそっくり丸ごと作ってしまおうという研究があって、そこに私たちも支援をしています。

日本国内で海外にはない独自の研究が進み、その中のどれか1つでも実用化できるようになってくれればという期待を持って支援をしています。

息子さんが1型糖尿病を発症

【井上】私の息子は小学校2年生で発症しまして、今年35歳になりますが、当時私が関東から愛知県内に転勤になり、そのとき息子は小学校1年生でした。おそらく集団登校の時の精神的なストレスなど外的要因で自己免疫の引き金が引かれ、インスリンが出なくなったのだろうと思っています。

【土井】息子さんが発症してから親として一番つらかったことは何なのでしょうか?

【井上】 小学校2年生で発症して、翌年の3年生の春休みぐらいから注射を打ち始めたんですけど、病気がわかってから学校からは登校を拒否されたんです。

特に妻は自分自身も病気を受け入れられない、合併症も心配な中で、学校に受け入れを拒否されたことが本当にショックでした。

そんな学校とケンカしながら通う必要はないと私は思い、理解のある隣の市の小学校にすぐに転校しました。そのために我が家は引っ越したんです。

転校した学校では妻が注射を持って1日に3回も4回も学校に通いました。朝、注射を打って学校へ行き、2時間目が終わるころにまた行って血糖値を測り、お昼に行って注射をし、課外授業や遠足にもついていきました。

特に体育の授業で水泳をするときはプールサイドにずっと立って見ていました。先生がうちの息子に気を取られて他のお子さんに迷惑をかけるといけないので、妻が3年生から6年生までずっとプールサイドで見ていました。妻は親としてできることは全てやらないといけないと思っていました。

会社としてできること

【長谷】会社を経営していて思うんですが、関わり方として、寄付や情報を発信することもできますが、今回1糖尿病を知って、インスリンを打たなきゃいけないということで雇用する側も躊躇するところがあると思うんですが、会社として1型糖尿病患者を受け入れて、働いてもらえる会社ですよと表明することも支援の1つになるのかなと思いました。

多分病気が就職のハンデというか障害になることがあると思うので、そういう人たちを雇用できますよと表明することは良いのかなと思いました。

【井上】実は就職に困っている患者がとても多いんです。大学だと自ら情報収集できますけれども、高校生の場合には学校の就職担当の教員の理解によってかなり対応が違います。そういう意味では、中小の企業の方々含めて皆さんの認識が少しずつ変わっていき、就労支援してくれることを期待しています。

【長谷】一番何に困っているのかということがわからないので、今回お話をさせていただいて、いろんな支援の仕方の1つとして雇用での支援というやり方もあるんだなと思いましたので、何かお力になれればと思います。

【井上】雇用の条件にこういう病気でも可という企業が広まってくれれば本当に嬉しいことですね。

【長谷】今日は本当にありがとうございました。

 

日本IDDMネットワーク井上様、貴重なお時間をいただきまして本当にありがとうございました!

 

                エイチツー一同

2018.11.12